人事制度は、経営的な視点では、①経営理念・戦略の実現のため、②価値観の浸透のための基本となる制度です。
そのため、評価制度において、経営理念・戦略の実現のために重要な要素をプロセスカテゴリーの評価項目に、価値観で定めている行動を基本行動カテゴリーの評価項目とします。
企業として従業員に行動してもらいたいこと(期待行動)を評価項目とすることが大原則です。
さらに、評価基準を行動レベルで明示し、行動する内容とレベルを利用した日常的な教育をマネジャー(評価者)が実施できるようにします。
下図:経営プロセスにおける人事制度の位置づけ
人事制度は、等級制度・賃金制度・人事評価制度の3制度から構成されます。
人事コンサルティングを進める上で中核となる制度設計の考え方をご説明します。
- 等級制度
等級制度では、階層ごとに求める役割が異なりますので、役割をそれぞれの等級に割り当てて設計していきます。
※このページでは、役割主義的等級制度について言及します
例えば、中期経営計画を組織に展開しようとした場合、経営幹部に対しては将来構想を、部課長に対しては戦略策定を、係長・主任に対しては戦術構築を、役職のつかない初級社員に対しては、計画策定・実行・改善を求めていくという具合です(下図参照)。
また下図では省いていますが、適切な等級から専門職群を持たせます。
下図:等級と経営マネジメント
- 賃金制度
「賃金制度」では、等級制度で設計した役割に見合う等級別賃金水準をお客様の現状の賃金構成要素を活かしながら設計します。もちろん、新設・廃止する賃金要素もあります。
しかし、賃金は従業員の生活の基盤となりますので、活かせる部分は残し、無用の不安感を醸成することのないように制度構築するのがポイントです。
また複線系人事体系を導入する場合は、それぞれの職群ごとの賃金体系を設計します。
退職金も賃金の一部です。最近は、貢献度に基づく退職金支給が主流になっており、貢献度をポイント化し、ポイントを加算する退職金算定方式で設計することが多くなっています。