多くの企業で中期経営計画を策定しています。しかし作るだけになっている企業が多いのも事実です。また年度経営計画、部門計画に展開していたとしても、その展開のレベルが部門間で異なっており、全社的な方針管理になっていないという事もよくみられる現象です。
方針管理としての、中期経営計画から年度経営計画への展開、さらに各組織への展開は、企業の戦略的な活動上、最重要のはずですが、あまり精緻に行われていないことが多いのです。
最重要なのに、なぜ方針管理が中途半端なっているのでしょうか?
方針管理や計画の展開に時間をかけることよりも、早く行動して活動量を増やせ、ということなのでしょうか?
実態としては、例年通りの部門計画が各組織から策定されてくるので、なんとなく年度経営計画が展開され、方針管理されていると思い込んでいるケースがあります。
『多分ちゃんと方針管理できているだろう』という意識がフィルターをかけてしまっているのです。
または、年度経営計画の展開についてノウハウがなく、どうしたらよいか分からず、放置してしまっているというケースも散見されます。
いずれの場合も、経営方針管理プロセスがないか、経営計画管理の仕組みがない場合に起こる現象です。
なんとしても、経営方針管理プロセスを構築しなければなりません。
経営方針管理プロセスをシステム化(仕組み化)すれば、上述の課題を解決する基盤ができることになります。 そして経営方針管理プロセスを徹底的に運用することで、次の3つの活動が促進されます。
当社は、企業成果は「戦略」「戦術」「計画」「活動」の4因子の積で表すことができると考えています。
良い戦略 (strategy="what") |
× | 良い戦術 (tactics="how") |
× | 良い計画(行動量) (plan) |
× | 良質な活動 (activities) |
※良い戦略・良い戦術・良い計画・良質な活動であれば、企業成果は向上するということです。
※どれか一つが欠けても高い企業成果は得られません。
企業成果が思わしくない場合には、4因子のどれかに原因があるわけですが、方針管理として戦略→戦術→計画の落とし込みがしっかりできていないと、成果が思わしくない場合に何が悪いのか、原因を特定することが困難になります。
すると多くの場合、戦略が正しく、他の3因子が不十分であったとしても、その戦略を変更することがあり、目まぐるしく変わる戦略に従業員が疲弊してしまうのです。
このような負のスパイラルに陥らないためにも、方針管理プロセス(各部門の施策を展開・すり合わせするプロセス)を設計し、4因子それぞれに対して、執着心を持って取り組む活動を促進するのです。
誰に任せ、いつまでに、何を、どのようにやっていくかを事前に計画していくのは非常に重要です。
仮説構築して事前計画を立て、行動し、結果の差異を確認し、行動修正していくことが、長期的な視点で見れば計画立案能力の向上に繋がり、ひいては、中期経営計画や年度経営計画を達成するための行動力を勝ち取る基本となるのです。
なお、年度経営計画の展開時には、重要度と緊急度の2軸で課題を整理し、計画化します。その上で、優先順位を決定し取り組みます。
※計画は行動する前に立てるのですから、事前の意味合いは、計画という言葉の中に含まれています。
しかし、計画立案が定着していない場合は、当社ではあえて「事前計画」と表現し、行動する前に仮説を立ててから計画することを認識していただいております。
方針管理プロセスを実行して、社員一人ひとりが計画立案し、目標設定した後は、優先順位をつけて良質な活動を行っていきます。この時に重要なのが時間管理です。
社員一人あたりの年間所定労働時間は約1,800時間~2,000時間です。この時間制約の中で、「何に」「どれだけ」「良質な活動」をするかで、企業成果は決まってしまいます。
であるならば、企業としては、マネジャーに対して、部下の行動内容と投入時間をしっかりとマネジメントするように求めていく必要があります。
限られた時間の中で、企業成果を増大させるための最良の活動をしているのかどうかをマネジメントするのです。
※マネジメントについては「マネジメント基礎」で解説しています