本章では、「知識を得るための集合研修」の具体的な事例をご紹介します。
実務で実践するために知っておく必要があるにもかかわらず、通常の実務では習得できる機会が少ないものを取り上げています。
学習意欲の高い社員が多い企業であれば、本稿で取り上げた研修のみ実施すれば充分な内容となっています。
集合研修の事例を図表3に示します。社員が等級に見合った役割を発揮するため、どのような内容の知識研修を行うか決定する際の参考にしてください。
図表3.育成のための基本知識を理解する集合研修例(役職別に分類)
役職 |
分野(コンセプチャルスキル・ヒューマンスキル) |
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組織運営 |
部下育成 |
戦略・戦術 |
問題解決 |
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部長 |
■組織ビジョン・文化 |
■事業立案 |
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課長 |
■管理に活かすマネジメントサイクル ■ビジョン明示 |
■管理者のコミュニケーション |
■戦略策定 |
■課題形成 |
課長代理 |
■管理者の役割 |
■部下育成 |
■戦略策定基礎 |
■課題解決 |
主任 |
■理念と行動 |
■部下指導 |
■戦術構築・計画策定 |
■課題解決(基礎) |
一般 |
■理念と行動(基礎) ■コミュニケーション |
■OJT技法 |
■計画策定 |
※理解を容易にするために、等級ではなく代表的な役職で表記しています。それぞれの役職は図表4のように解釈してください。
図表4.役職と役割の関係
役職 |
役割 |
部長 |
部門を統括するポジション。社員として最上位の等級に在籍している。 |
課長 |
管理職の最初の等級に在籍している(初級管理職)。 |
課長代理 |
初級管理職の1つ下の等級に在籍している(次の管理職候補)。 |
主任 |
何らかの役職が付与され、部下や後輩の指導を任されるポジション。 |
一般 |
役職を付与されていない。 |
図表3で示した研修テーマの具体例を示します。
絶対的なものではございませんので、自社にとって最適なかたちにアレンジしてカリキュラムをご用意ください。
図表5.研修テーマの具体的な内容例
役職 |
テーマ |
研修概要 |
部長級 |
組織ビジョン・文化の理解 |
組織のビジョン、価値観やそれにもとづいた行動が組織文化へ影響を及ぼすことを理解する。 |
戦略思考を身に付ける |
戦略的思考のフレームワークを学んだ上で、シナリオプランニング、事業特性分析を行う能力を身に付ける。 |
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事業立案できるようになる |
戦略的思考をベースに、外部と内部の環境分析(資源配分・コアコンピアンス)結果を考慮して、担当事業部門の新事業構想を立案できるようになる。 |
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課長級 |
管理に活かすマネジメントサイクルを理解する |
実務マネジメントの要諦であるマネジメントサイクルの実践方法を理解し、部下の活動管理・進捗管理・行動支援を行うとともに、部門を目標達成に導く方法を会得する。 |
自部門のあるべき姿(ビジョン)を明示する |
部門の中期戦略をもとに、自部門のあるべき姿を検証し、部門全体のビジョンを明示できるようになる。 |
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管理者としてのコミュニケーション能力を身に付ける |
部下の個性を見極め、タイプ別の対応法や"聴く・看る"コミュニケーションの重要性を理解する。 |
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戦略策定できる |
部門の戦略を策定するためのフレームワークを習得し、部門方針の立案方法を理解する。 |
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課題を形成する |
目標達成のための課題(開発問題・回避問題)の設定方法を、問題構造学的なアプローチによって理解する。 |
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課長代理級 |
管理者の役割を理解する |
次の管理者候補として、管理者としての役割・行動原則を理解する。 |
会議法を習得 |
生産性が高く結論を出せる会議法を習得する。 |
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部下育成方法を理解 |
部下の育成方法、仕事の成熟度を高めるための支援方法を理解する。 |
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戦略策定基礎を身に付ける |
自部署の戦略策定のフレームワークの基本を理解し、自部署の施策に落とし込む。 |
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課題解決方法を理解 |
課題を設定し、その解決策を考えるためのフレームワークを理解する。 |
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主任級 |
理念にもとづいた行動計画の策定 |
経営理念に基づき、自身が行うべきことを棚卸しして、行動計画を策定する。 |
部下指導 |
部下や後輩の指導方法、担当業務の成熟度を深めさせる方法を理解する。 |
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戦術構築・計画策定方法を理解 |
自部署の戦略に基づいた戦術構築、計画立案の方法を理解する。 |
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課題解決能力(基礎) |
課題解決の基本を理解し、日々の課題を解決できるようになる。 |
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プロセス改善を身に付ける |
現在の仕事を見直し、いかに付加価値作業を増やすかを考えて業務改善に結び付けられるようにする。 |
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一般 |
理念にもとづいた行動軸を持てる(基礎) |
経営理念を根底から理解し、経営理念に基づいた行動軸を持てる。 |
マネジメントサイクルを理解する |
実務マネジメントの基本となるPDCAサイクルを理解し、計画→行動→検証→行動修正による活動ができるようになる。 |
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コミュニケーション能力 |
自分の個性を理解した上で相手とのコミュニケーション方法について、心理学も応用しつつ実践的に理解する。 |
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OJT技法を身に付ける |
後輩指導についての考え方や手法を理解する。 |
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計画策定方法を理解する |
業務計画の立て方と実践方法、上司への進捗状況報告の方法を理解する。 |
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