8割以上の企業で目標管理制度を導入していますが、そのうち6割以上の企業で「自部門だけの目標に終始し、関係部署との目標の共有化・連携がない」「組織目標と個人目標との連鎖が弱い」等の課題をお持ちです(※)。
(※)出典 労務行政研究所(2013)「目標管理制度の実施状況と運用課題」『労政時報』第3853号
目標管理制度の設計や運用方法など様々な要因があることは論を待ちませんが、当社では、経営方針管理と目標管理を混同していることが最大の要因と考えております。
当社では、それぞれ次のように定義しています。
■経営方針管理
経営活動の核となる年度経営方針を組織構造にしたがって課レベルまで展開してテーマ化し、個人に割り当て、方針実現のためにプロセスマネジメントすること
■目標管理
マネジャーが組織の目標を部下に割り当てる際に、働きがいを得るために責任を与え、部下が自律的に動機づけできるように、自己管理を可能とすること
経営方針管理は、企業の「経営企画機能」を所管する部門が受け持ちます。
経営方針の実現のための方針展開、展開後の各組織のテーマについてマネジメントを実施します。このマネジメントによって、方針展開時に部門間のテーマの連携を図ります。
一方で目標管理は、企業の「人事機能」を所管する部門が受け持ちます。
マネジャーが、組織目標について部下の成長と動機づけを考慮して適切な目標を与え、部下が自己管理できるようにしているかのマネジメントを実施します。
すなわち、経営方針管理で方針を展開し、展開されたテーマを個人に割り当てる際に、マネジャーが目標管理することになるのです。
経営方針管理による個人へのテーマの割り当ては、方針展開されたものが与えられることになるので統制的です。統制されたテーマの割り当ては、個人にとっては受動的義務になるので、動機づけされにくい傾向があります。
一方で、目標管理による個人へのテーマの割り当ては、部下に責任を与え、自己管理を可能とさせるので非統制的です。この場合のテーマの割り当ては、能動的義務になるので、動機づけされやすい傾向があります。
したがって、部下を動機づけしていくには、マネジャーのテーマの割り当て方が非常に重要となります。統制的なテーマをいかにして非統制的にするかが、マネジャーの腕の見せ所といえます。
経営方針管理を実現するためのプログラムは 経営方針管理コンサルティングプログラム をご覧ください。
方針管理を実施する前提となる経営計画・経営方針の詳細は 経営計画・経営方針 をご覧ください。
経営方針管理と人事制度上の目標管理との重要な違いについては 経営方針管理と目標管理 をご覧ください。